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【Top Interview】一般社団法人 日本皮革産業連合会 会長 藤原 仁 氏

time 2020/10/13

【Top Interview】一般社団法人 日本皮革産業連合会 会長 藤原 仁 氏

ピンチをチャンスに変える意識で
業界発展に向けた事業推進に尽力

ーー新会長としての抱負をお聞かせください

 2020年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本が飛躍していく姿を世界に向けて伝えられるビッグチャンスの年でありました。しかし、年初より、中国武漢で発症した新型コロナウイルス感染症が日本にも入り込み、世界がパンデミックに陥り、オリ・パラは延期。その後、日本では緊急事態宣言が解除されたとはいえ、未だ先行きがまったく見通せない状況となっております。まさに、世界中が共通の試練を前にして、これまでの前提が通用しない「まさかの時代」となって、私たちにニューノーマル(新しい日常、新しい常識)を求めてきております。そして、特に、日本の皮革産業にとって、2019年2月に日欧EPAが発効し、加えて10月には消費増税が始まり、すでに非常に厳しい経済環境にあったところでの新型コロナの追い打ちは、計り知れない影響を及ぼしています。
 そのような中にあって、6月17日、私は一般社団法人日本皮革産業連合会(以下、皮産連)の会長を仰せつかり、日本の革靴産業から皮革産業全体に意識を広げ、全力を尽くしていくことになりました。甚だ若輩者ではありますが、これまでの日本の皮革産業を支えて来られた多くの諸先輩の皆様のお力添えを頂き、日本の「匠の技」によって創られたメイドインジャパンの皮革・皮革製品の真価を世界に発信していけるよう、尽力してまいります。
 また、2020年は、西村勝三翁による日本の靴産業誕生から150周年という、記念すべき年となりました。先人の功績に想いを馳せながら、少しでも皮革業界にとって将来を展望できる水準に引き上げてまいりたいと思っております。
 After/Withコロナの時代は、Tele-Society(離れて仕事・生活をする社会)になると考えられます。そして、この厳しいコロナ禍だからこそ、「ピンチはチャンスに変えられる」と気持ちを高め、以下の事業にエネルギーを集中し、皆様とご一緒に闘い、乗り切っていきたいと願っております。
① パーソナライズな時代の到来に向けて、お客様が求める商品と製品データの管理・活用に向けて「デジタル化」を推進すること。
② 「グローバル化」への対応として、SDGsをベースにしたサプライチェーンの再構築と、パンデミック終息後には海外展開を促進すること。
③ ①②を活かす「ブランディング」を構築する。日本の弱点であるブランディングを克服するためには、デザイナーの発掘と正しい活用が最重要課題であると考え、技術者の育成やデザイナーの育成に取り組むこと。
 そして、これら①~③の事業に加え、新型コロナウイルス感染の影響がいつ終息するとも言えない不透明さを抱えている現時点において、すでに事業の継承断念に追い込まれる店舗や企業も出始め、この秋以降、一層大きな問題として私たちの前に現れてくることを想定すると、前述のような未来を展望しつつ、今、緊急を要する対策として、次の④のプランも視野に入れる必要があると感じています。
④ 部材の標準化や共有化に加え、企業間における協業化や共業化など、前向きな計画への支援と同時に、M&Aや廃業など、経営者にとっては受けとめ難い現実に向き合うためのサポートが必要であること。
 以上の4つの計画をベースに、皆様からのご支援とご協力を頂きながら、今後、日本の鞄・バッグ製品、そして、皮革・皮革製品のすべてが、日本のお客様はもとより、世界中の人々に愛され、喜んでいただけることを願い、そして、それらを創り出す日本の皮革産業に従事するすべての方々の幸せを願い、なお一層の業界発展に向かうことを切に願って、皮産連会長に就任させていただいての抱負とさせていただきます。

ーー皮産連が取り組んでいる主な事業についてご紹介いただけますか

 皮産連事業について、特徴的な事業をいくつかご紹介します。
 先ずは、「新日本エコレザー事業」ですが、世界的な持続可能性への関心の高まりから、環境への対応は益々重要な課題となってきています。また、貿易自由化の進展に伴い、海外展開や新たな市場開拓に向け、現行の日本エコレザー基準のほかに、世界的にも通用する環境やSDGsを考慮した新たな基準の制定に向けて取り組んでいます。
 そして、今年は日本で革靴産業が始まってから150年になります。革靴産業の歴史や当時の製品を紹介する「革靴産業150周年事業」を開催し、日本の革靴産業の素晴らしさを消費者等にアピールしていきます。新型コロナウイルスの関係でいくつか事業も中止になりましたが、第1回目は、8月26日から31日まで新宿伊勢丹本館「靴博」で開催、第2回目は、9月19日・20日の2日間にわたり渋谷スクランブルスクエアで開催し、大変好評でした。
 続いて、「皮革ソムリエ事業」では、年々多くの皮革ソムリエ試験の合格者が誕生しています。これら合格者がその知識を活用できるよう「レザーソムリエ ロゴマーク使用規約」を制定し、名刺やPOP等に活用できるようにいたしました。今年も是非、受験の応募をお願いいたします。
 最後に、「革靴認証事業」では、自宅でも異なるサイズのパンプスがフィッティングできるWebシステムを構築し、コロナ禍でも安心して商品を購入できるような取り組みを進めてまいります。

ーー皮革素材関連業界およびバッグ・鞄業界に向けてのメッセージをお願いします

 現在、「エクセレントJAPAN展開促進事業」を進めています。これは日本鞄ハンドバッグ協会の皆様に検討をしていただいた成果を踏まえ、技術認定試験の国家資格化に向けての検討、QRコードを活用しての商品紹介など、職人の地位の向上や商品ブランドへの活用、消費者等への利便性の向上やサービスの向上などを目指し、SDGsやサーキュラーエコノミーを踏まえ、日本鞄ハンドバッグ協会の皆様に引き続き取り組んでいただいており、今後の展開を楽しみにしています。
 また、日本の素晴らしいものづくりには、部品や素材が欠かせません。消費構造や流通機構が大きく変化する中で、素材や部品業界の皆様との連携は益々重長になってきています。このため、強固なサプライチェーンの構築に向けて、是非とも力を合わせ頑張っていきたいと思っておりますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、この度のコロナ禍に負けず、引き続き業界の皆様の発展に向けて精一杯取り組んでいく所存ですので、ご支援並びにご協力をお願い申し上げます。

https://www.jlia.or.jp

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