2024/08/20
イタリア素材展リポート
宮城プランニング代表 宮城基郎
9月9日から11日までの3日間、イタリア・ミラノで開催された世界最大の皮革見本市「リネアペッレ」を視察した。会場はミラノ中央駅から地下鉄で約20分のところにあるフィエラミラノ(Rho)展示会場。2014年よりボローニャからミラノに会場が移り、かなり広くなった印象で、この後すぐフランス・パリで開催されたフランスレザー展示会との住み分けができ、ミラノとパリで分散している状況だという。 今回の出展には、2016年秋冬の皮革、素材、金具、副資材など合計約1020ブースが集まった。大きく分けてレザーブースが4か所に分散し、金具・副資材・異素材・型押しの判などのブースが2か所にある。レザーブースにはフランス、中国、台湾、インド、トルコ、日本などの出展もあった。 傾向としては前回とはだいぶ様変わりしていた。迷彩柄はほとんどなく、手書き風プリントも旬を過ぎた様子。もはや加工のテクニックは出尽くした感があり、革屋さん達も仕入に困っていた。又為替も依然安くないので日本に入れるとかなり割高になる。そんな中でも、独特なプリントで差別化できる加工もの(財布用)、もしくはイタリアならではの味のある革(メンズ・ユニセックス用)を仕入れているようだった。 その他、色や素材傾向について感じたことをまとめてみた。
【カラー】
秋冬なのでベージュからブラウンのバリエーションとボルドーのバリエーション、ブルー、ネイビーが多い。今日本でも紺系の動きが良く、この傾向はまだ続きそう。
特に目についたのがモノトーンのアート調の柄
その他気になった色としてイエロー、グリーンも比較的多かった。鈍い光のゴールド、ブロンズ、ガンメタも型押しの革に多く使われている
発色の良いエナメルプリント柄
写真のクロコ型押し革は全体にブロンズ色で、型押しの谷の部分はラメ加工でチリチリ光っている
【テクニック】
一番多かったのが二次加工、三次加工の革。下地の確保が難しい中、他社との差別化を図り付加価値をつける意味でも、様々な型押しとプリントやフィルムを掛け合わせたり、逆側から型押しして違う表情を作ったり、パンチングしてプリントし拭き取ったりして新しさを提案していた。
イタリアならではの植物タンニンの革らしい味のある革も多く、うっすら手染めしてぼかした加工などもよく出来ていて、店頭での評判もいいのではないかと思う。
リアルパイソンにプリントした加工(右下)やパンチングしてチェックのプリント加工を施したもの(左下)など、二次加工、三次加工のテクニックが目立つ
味のある革にスタッズを施すなど、カジュアルだけどややきれい目にもコーディネイトできる加工
【金具・ファスナー】
金具は特に傾向は見られなかったが、ややきれい目なメッキがほとんど。ファスナーはラッカーニなど虫が大きいタイプが多く見られ、YKKでも新しいタイプが見られた。
橋元産業、栃木レザー、新喜皮革、MKヨコヤ、葛西テープ、田中安工業など日本からの出店も多い
宮城プランニング
DCアパレル、大手バッグ製造卸し会社にて営業、MDとして30年間勤務した後独立。2015年1月より数社のクライアントと契約し、バッグ、財布、雑貨の商品企画から生産にいたる、コスト削減を踏まえたコンサルタントを行っている。現在自身のサイトでブランディングのノウハウ、ファッションビジネス情報の記事を更新中。
http://miyagiplanning.com/