2024/08/20
富裕層の実態
中国の富裕層をターゲットとする海外ブランドは多く、先ず市場調査として、統計情報やメディア・調査機関が出している記事・レポートを参考にする場合が多い。しかし、それらの統計情報は正確とは言えず、メディアの報道記事は偏りがある。政府統計が当てにならないのは前回コラムでも述べたが、特に「富裕層」に関する情報は、富裕層側が所得隠しをしたり、目立たぬように暮らしていたりなので、なおさら疑わしい。
とは言え、全体像を把握する場合にある程度の信憑性を持って見られるのが、「胡潤研究院」という中国の調査機関のレポート『胡潤百富』だろう。このレポートは、20年以上に亘って中国の富裕層ランキングを発表しており、具体的な調査手法は明らかではないものの、その定点的なデータは、中国で唯一と言えるほどの“信憑性のある富裕層統計”だ。それによると、いわゆる「超富裕層」(10億USD以上の資産家)に該当する中国人は、2020年に1058人とされており、アメリカの696人を上回り世界一となる、
現実的な話に戻すと、多くのラグジュアリーブランドにとってターゲットとなる「100万USD以上の資産を持つ世帯」は、2017年に460万世帯だったものが、2020年では501万世帯を数え、約5億世帯の中国の上位1%となる。(尚、日本で1億円以上の資産を持つ世帯は132万世帯で全体の2.4%。※(株)野村総合研究所/2019年)
エリアとして突出しているのは、やはり「北京」「上海」の2都市。この2都市だけで500万世帯の内130万世帯を占めている。
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