2024/08/20
さて、世界情勢が目まぐるしく変わる2022年の中でも、何とか1年を通じてお届けしてきた「中国朝聞夜道」。独自の文化、環境、媒体という市場の中で起きていることを通じて、日本の読者が「世界の振れ幅」を感じ取り、また、中国市場へも興味を持ってもらえれば幸いだ。最終回の今回は、直近の動向を含めて、来年、そしてその先の中国、更にはその中国とどう向き合うべきか(特にビジネスの観点で)、という点についての私見で締めくくりたい。
中国にとっても「異例の年」
この原稿を書いているのは、11月24日。そう、これは2022年サッカーワールドカップの日本対ドイツの試合翌日。今日、中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、日本チームの劇的な逆転勝利を報じるニュース記事がトップランクに入り、コメント欄も盛り上がっている。中国チームがその様子を見ていると、コロナで遠くなったと感じていた日本と中国の距離が、もう一度近く感じ始めたような気がしている。
今、中国各地では、コロナの感染者の再拡大が頻発。そこに対しての政府の「ゼロコロナ」政策の堅持は、私自身、想定していた以上の厳しさだ。部分部分での事象ではあるが、工場が閉鎖され、物流が打撃を受け、解雇通知を受けた工場員のデモが起きている。上海ディズニーランドはコロナ政策で突然閉鎖して来場者が閉じ込められた。オフィスビル・商業施設単位ではもはや「閉鎖」がニュースにならないほど。2022年の経済は消費マインドの冷え込みも大きく足を引っ張り、(発表されるGDPの数字はどうあれ)成長は鈍化すると見られている。
このゼロコロナ政策、加えてウクライナ情勢に対するロシア寄りの姿勢など、2022年の中国ビジネスは「政治」に大きく影響を受けた年だった。これまで、日系企業にとっての政治面での「チャイナリスク」は、いわゆる日中外交の事象に伴う「反日デモ」「反日感情」が中心であったため、異例の年と言える。
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