2024/08/20
伊藤鞄製作所
ランドセル専業以外の取り組みでも、ランドセルには欠かせない物作りがある。その一つが㈱伊藤鞄製作所(本社足立区・伊藤勝典社長)が今年から手掛けている“ランドセル・リメイク”というカテゴリーだ。
同社は1960年の創業から日本製を追求し続け、60年の歴史の中で培ってきた技術力と、それを伝える100名もの職人を抱えるメーカー。その生産力を生かし、これまでOEM・ODM以外にも卸会社レガロや工場発信によるオリジナルブランド開発に取り組み、一昨年前からは修理事業「Again」もスタートしている。
「Again」の工房は、本社機能と工場、飲食が集中する足立の拠点「レガロ・フェリーチェ」の中にあり、修理専門の10名のスタッフが直接対応する他、原宿の「ショップレガロ」にも窓口を設け、さらに提携する全国の専門店を通して修理を受け付けている。
修理事業はこれまで百貨店バッグ売り場でのイベントとしても展開しており、若い職人が実際にミシンを踏むパフォーマンスを行い、思い入れのあるバッグを復活させるというサービスはかなり好評だった。新規事業の「ランドセルリメイク」は、この修理事業の一環でスタートしたもの。
主力のバッグ製造だけでなく、修理やリメイクにまで広げたきっかけは、職人の技術向上と新しい物を生む原動力になるのはもちろんのこと、工場のメリットを生かした新しいバッグのビジネスが展開できるからだ。「ランドセルリメイク」も通常1~2年待ちが普通の状況だが、同社は工場の強みを生かして納期3ケ月が可能だという。
リメイクの内容は6年間使ったランドセルからミニランドセルを作り、思い出として残すだけでなく、実用的な財布やキーホルダー、名刺入れ、首輪、スマホケースなど新しい物にも作りかえることができる。素材の取り都合で限界はあるが、幾つかのアイテムを組み合わせてオーダーすることもできる。またオプションも充実し、刻印や好きな写真のプリント。
元になるランドセルは牛革、コードバン、クラリーノも可能で、何年も昔に小学校を卒業したお父さんのランドセルでも可能だという。
リメイクの窓口は修理と同じく、足立の工房と原宿のショップ、それに提携する専門店。この全国の専門店との提携が、この事業のもう一つのメリットである。
店側は修理やリメイクのサービスを付加することで利便性を高められ、物を買うだけでなく、バッグを通して店と顧客との関係性もより深くなる。中にはお店からのリクエストでラインナップに加わった新アイテムなどもあるという。
修理やリメイクの窓口を設置するといってもスペースが必要になるわけではなく、もちろん修理代金の何%かを利益にできるので、何か新しい付加価値を求めている店舗にとって選択肢の一つにもなりそうだ。
現在ランドセルリメイクで提携している専門店は、福山市・檀上カバン店、宮崎市・バッグのあつた、大分市・idee、静岡市・トラヤ、北見市・ブルームスピリッツ、桐生市・モギカバン、山形市・カバンのフジタで、提携店は今後も増やしていく予定だ。
なおランドセルリメイクの詳細は同社ホームページ(http://www.ito-kaban.jp)で紹介されている。
●伊藤鞄製作所
☎︎03-5856-2234