2024/08/20
2度目のコロナ禍の中国
この原稿を書いている現在(4月14日)、ゼロコロナ政策を続けている中国では、上海をはじめ幾つかの都市で「封城」=ロックダウンが続いている。掲載される頃には多少の変化は起きているだろうが、政府も、生活者も、「コロナ不安」と共に生きる日々が続いていることは間違いない。
さて、そうした中で、中国で何が起こるかを予測する上では、2020年のコロナ禍を振り返るのが適切だろう。2020年1月、「武漢封城」から始まり、2月には中国全土、そして3月には世界に広がって海外への渡航制限が常態化した。中国国内での一日あたりのコロナ新規陽性者数は、4~5月には一桁の都市が殆どとなり、経済活動や国内旅行はV字回復に向かったものの、海外旅行は殆ど出来ない状態が今に至るまで続いている。その間、「免疫力を中心とした健康ブーム」「EC浸透率の加速」「ライブコマースの加熱」など多くのトレンドが起きていたが、その一つに「アウトドアブーム」がある。
アウトドアは「新たな消費欲の行き場」
10年前まで、中国では登山・キャンプ、海水浴、ウィンタースポーツといったアウトドアレジャーはそれほど盛んではなかった。それは、そもそも日本のような自然の豊かな国土ではない(雲南省は私も認めるが)という側面もあるが、それ以上に、2010年代は「海外旅行」が豊かさの象徴であり、且つ、経済水準の増大に伴う「消費欲」を最大限満たしてくれるレジャーだったからだ。そして、その「消費欲の行き場」が失われたのが、このコロナ禍である。そのような状況下で、“遠出が出来ない中で何とか余暇を楽しく過ごそう”という人達が、こぞってアウトドア用品を買い求め、公園でのBBQやキャンプ、キャンピングカーでの車中泊を始めたのだ。
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