2024/08/20
中国における“革製品”の捉え方
「世界の工場」であった10数年前までの中国では、「革製品」と言えば、一部の有力者向け商品、あるいは海外ブランドに向けて製造する輸出物であり、車のシート等の耐久素材の一部を除けば、日常に触れるものではなかった。しかし、この10年で2倍超となったGDP(2010年6.09兆USD/2020年14.72兆USD、出典:World Bank)の成長に合わせて、ホワイトカラーの産業人口と彼らの可処分所得も増大。革靴、革製バッグ、レザージャケット、ソファーカバー等の革製品も一般的に見られるようになる。ただし、その普及が必ずしも「革」に対するイメージが良好化したか、革製品がさらなる普及を続けたかというと、そうとも言い難い。
消えた「財布」
革製品への影響が大きいと感じるのは、日本よりもかなり先行している「キャッシュレス」の流れだ。いや、流れというよりも、もはや圧倒的多数。スマートフォンが生活インフラ化し、全ての決済行動はそれで完結する。財布を持ち歩かないどころか、「財布(銭包)? WeChatの? AliPayの?」と、“モノ”としての財布は、既に忘れ去られているのではないかという印象だ(ただし、日本旅行のときだけは財布が必要だよ!という笑い話は実話でもある)。
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